2007年06月30日
全米女子オープンは雷による中断続きで、進行状況がメチャクチャだが、大山志保が暫定8位タイと健闘している。今日2日目は、早朝に第1ラウンドの残り5ホールをプレーし、その後、第2ラウンドへ突入。しかし、17番グリーンでパットを始めようとしたところでサスペンデッドを伝えるホーンが鳴った。
とりあえず近くで待機してくれと大会側から伝えられた大山。近くにたまたまいたギャラリーが連れていた幼い3人の子供を見て「かわいい!」と寄っていった。サインボールをあげたりして遊んでいたら、その様子を日本の新聞社のカメラマンがパチリ。その瞬間、その場にいた日本のカメラマンが全員、ものすごい勢いで大山と子供を取り囲み、バシャバシャバシャ!!
撮影するのが仕事だから、責めるつもりは毛頭ないが、その撮影シーンを眺めていたら、なんかこれって変じゃないかな、と思い始めた。近くを通りかかった別のギャラリーいわく、「どこかの有名人の子供たちなの?」そんな疑問を抱くのも当然だ。総勢10人近いカメラマンが一斉にシャッターを切っているのだから、単に選手を撮っているというより、3人の子供たちを撮っていると感じるだろう。あるいは、有名な3人の子供と遊ぶ選手の絵?
(たのしそう。でも、この子供たち、だれ?)
私の相棒カメラマンのJJ田辺も、その一陣にいたのだが、途中でニタニタ笑いながら一陣から出てきた。「なんか違いますよね?」そう、なんか違う。でも、どうして撮ったの?「みんなが撮っているからですかねえ。みんなも、みんなが撮っているから撮ったんですよねえ」
(大山からもらったグローブをつける。うれしそう)
うーん、わかる部分もあり、頷けない部分もある。みんなが撮るものを自分も漏らさず撮りたいと思うのは当然のこと。しかし、みんなが撮るから自分も撮らなければと思うだけでは、自主性がなさすぎる。だが、みんなが知っていることを知ろうとしないのかと私が問われたら、やっぱりみんなが知っていることは自分も知ろうとするだろう。だから、この場にいたカメラマンを私が責めることなんてできないのだが、やっぱり、これって何か変だ。
きっと、こういうことだろう。みんなが撮るものは撮った上で、みんなが撮らないものを撮ればいい。みんなが知っていることは知った上で、みんなが知らないことを知る。それがプロというもの……だと思うのだが……。あまりにも変則スケジュールの取材が続き、頭が朦朧としてきた。
(撮影会もひと段落して、リラックス)
Photo/JJ Tanabe
2007年06月28日
明日から全米女子オープンが開幕する。練習日の今日、宮里のラウンドについてロープ内を歩いていたら、日本人とおぼしき50代ぐらいの女性からいきなり声をかけられた。「あのー、すみません、アナタはアイ・ミヤザトのお母さんですか?」えっ、私がお母さん?ちょっとびっくりして「いえいえ、私は取材のために来ています」と答えると、「ああ、そうですか。私たちは沖縄県人会なんです」。沖縄から、このアメリカのノースカロライナまで応援にいらした?「いえいえ、この近く(ノースカロライナ州)のフェイエットビルという街に沖縄出身者の県人会があるんです」。何人ぐらい会員がいらっしゃる?「70名ぐらいいますよ」
まず驚いたのは、この70名という大所帯だ。はっきり言って、ここはアメリカ国内でもかなりの田舎。そんなところに日本人が何十名も所属する会があると聞いただけでもビックリなのに、沖縄出身者だけで70名というのだから、こりゃすごいことだ。
しかし、本当に驚かされたのは、ここから先。女性の言葉は放っておいてもどんどん続く。「それでね、私たちは沖縄出身の日本人がどんな活躍をしているのかなと思ってインターネットで検索したんです。そうしたら、アイ・ミヤザトって名前が出てきて、そのアイ・ミヤザトがこの大会に出るってことがわかって、それで私たち応援に駆けつけたんですよ。あらっ、ところでアナタはアイ・ミヤザトのお姉さんでしたっけ?」
「お母さん?お姉さん?」は、かなりずっこけたが、話を要約すると、彼女たちは検索をするまでは宮里のことを知らなかったということになる。日本ではスーパースター的存在、誰もが知る存在である宮里だが、アメリカの隅々までその名が伝わっているわけではなく、それは言葉を変えれば、世界はそれほど広いということだ。
日本で大流行する何々ブームというものは、日本の中では誰もが知るところとなるのだが、それが世界にまで波及するわけではない。その事実は、こんなふうに「あの藍ちゃん」を知らない日本人たちの生の声を聞かなければ実感しにくいかもしれないが、世界の壁というものは、いろんな意味でそれほど厚いのだ。
だからと言って、日本人が世界の壁を破れないわけでは決してない。米ツアーに挑む宮里は、だからこそアメリカで必死に戦っているのだし、そこで勝利を飾り、勝利を重ねていけば、アイ・ミヤザトの名は自ずと世界に知れ渡る。石川遼も日本では「王子」の名までつけられている存在だが、海外では今は「無名」で、そりゃ当たり前。だが、石川君が今後、プロの世界でも勝利を重ね、アメリカそして世界でも勝利を重ねれば、そのとき初めて世界が認めるプリンスになる。
だが、それには想像以上の時間がかかる。世界の壁は想像以上に厚いのだから。
そんな日が来るまで長い目で応援してあげるのが、本当のファンなのだと思う。
Photo/JJ Tanabe
@kaitoyuu1
自分はテコンドー二段でアメリカの大学でテコンドーを教えているものです。
蹴る際に軸足を浮かす蹴り方をするには軸足で体を支えて蹴り足を引き上げるのではなく、蹴り足で床を蹴りその反動で蹴り足をおくりだす体の使い方を覚えなけれだめです。